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最高裁判所大法廷 昭和23年(れ)774号 判決 1948年12月01日

主文

本件上告を棄却する。

理由

辯護人廣川捨吉上告趣意第一點について。

論旨は、「勾引状に依らずに逮捕したのは違法であり、又憲法第三三條の規定に違反したものである」と主張する。若し、本件が現行犯ないし準現行犯であるならば、逮捕は適法であるが、又若し辯護人のいうようにこれらに當らないとすれば、逮捕は違法違憲であると言わなければならない。しかし、よしや假りにかかる違法があるとしても、本件では即日適法に勾留状が発せられているばかりでなく、逮捕の違法そのものは原判決に影響を及ぼさざることは、明白であるから、これを上告の理由となすことを得ない。ただ逮捕の違法に對しては、別の救濟方法によるべきものである。論旨は、理由がない。(その他の判決理由は省略する。)

よって刑事訴訟法第四四六條に從い、主文のとおり判決する。

この判決は、裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 塚崎直義 裁判官 長谷川太一郎 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 霜山精一 裁判官 井上登 裁判官 栗山茂 裁判官 真野毅 裁判官 島 保 裁判官 齋藤悠輔 裁判官 藤田八郎 裁判官 岩松三郎 裁判官 河村又介)

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